セルフ・キャリアドッグで
会社を元気にしましょう!

~従業員の活力引き出し、企業の成長へとつなげるために~

 

第1章 セルフ・キャリアドックとは

1.セルフ・キャリアドックの定義

セルフ・キャリアドックとは、キャリアコンサルティングとキャリア研修(第3章参照)などを組み合わせて行う、従業員のキャリア形成を促進・支援することを目的とした総合的な取組みのことです。

 

2.セルフ・キャリアドックの必要性

IT 化の進展や国際競争の激化などにより、企業はビジネスモデルや事業内容の大胆な変化を迫られています。そのため、従業員一人一人が社会や組織の変化を先取りする形で変革に対応し、持てる力を最大限に発揮していくために、自ら主体的にキャリアを考え構築していく必要があります。

 

3.導入で期待される効果

セルフ・キャリアドックの導入により、次の①②の効果が期待されます。

①各従業員が、キャリアの目標を明確化し、仕事の目的意識を高め、計画的な能力開発に取り組むことにより、仕事を通じた継続的な成長を促し、働くことの満足度の向上につながります。

②企業の立場としても、人材の定着や従業員の意識向上が、組織の活性化につながり、生産性の向上への寄与等の効果が期待されます。また、労働者の属性ごとに次のような効果も期待されます。

 

(1)新卒採用者の定着率向上

仕事への向き合い方・取り組む意欲などのマインドセット、キャリアパスの明示などを通じて、職場への定着や仕事への意欲を高めていくことが期待されます。

(2)育児・介護休業者の職場復帰率向上

仕事と家庭の両立に関わる不安を取り除き、課題解決を支援するとともに、職場復帰プランを作成することにより、職場復帰を円滑に行うことが期待されます。

(3)高年齢層社員の活性化

職業能力や適性といった個々人が保有する多様な力への自己理解を深めることにより、ライフキャリアの後半戦~セカンドキャリアに向けて、積極的な職業生活を設計していくことが期待されます。また、上司や管理職として抱えている課題の解決も支援していきます。

 

第2章 セルフ・キャリアドック導入のための社内環境の整備

セルフ・キャリアドックを円滑に社内に導入していくためには、次のような社内環境の
整備も重要となってきます。

 

1.経営者のコミットメント

経営者が自ら、セルフ・キャリアドックを導入し、組織を活性化していくことを社内(全従業員)に対して宣言することにより、組織全体としてセルフ・キャリアドックの推進力が備わります。

 

2.社内の環境整備

社内各層の従業員にセルフ・キャリアドックの意義について理解を促し、円滑な導入に向け社内の意識醸成を図ることが重要です。

(1)現場管理職の理解

従業員の上司にあたる管理職にも、セルフ・キャリアドックの目的、内容を知ってもらい、キャリアコンサルタントや人事部門と一緒になって対象従業員の支援に関わってもらうことで、セルフ・キャリアドックはより一層効果的なものとなります。

(2)従業員の理解

対象従業員に対しては、社会・経済の変化が激しい現代において、力強く職業生活を乗り切っていくためには、主体的にキャリア形成を行わなければならないことを認識してもらう必要があります。

(3)社内体制の整備

①推進責任者の決定

セルフ・キャリアドックが円滑に導入・推進されるよう、社内に一定の影響力を有するポストの中から適任者を選定する必要があります。

 

②社内規定の整備

セルフ・キャリアドックを社内の制度として制定・周知するために、就業規則や社内通達として整備してください。従業員規模が小さい企業などでは、規定の整備という形式にこだわることなく、柔軟な方法を取ることも考えられます。

 

3.キャリアコンサルタントの確保

セルフ・キャリアドックの中核的な取組みは、対象従業員に対するキャリア研修と個別のキャリアコンサルティング(面談)及びそれらの結果に対するフォローアップであり、これを担うキャリアコンサルタントの育成・確保は必要不可欠の事項となります。
キャリアコンサルタントには、大きく、(1)社内キャリアコンサルタント(資格を保有する従業員等)(2)社外キャリアコンサルタントの2種類があります。

 

(1)社内キャリアコンサルタント

従業員が納得・信頼してキャリアコンサルティングを受けられるよう、キャリアコンサルタントの公的資格である「キャリアコンサルタント国家資格」、「キャリアコンサルティング技能検定(1級・2級)」のいずれかを保有していることが原則です。
ただし、人事部門等での勤務経験が長く、従業員との相談経験も豊富で、従業員からの信頼が厚い方については、(組織内で他に有資格者がいない場合)事前の研修等により、社内キャリアコンサルタントに代わり、役割を果たすことは可能です。

(2)社外キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントの公的資格の保有者であることが大前提です。加えて、企業の経営目的や経営戦略、人材育成ビジョンや人材育成計画、人材育成に関する現状の課題等を事前に十分に理解してもらう必要があります。このため、社外キャリアコンサルタントを活用する場合には、これらの点を十分に情報共有するとともに、定期的な打合せの機会を設ける必要があるでしょう。

 

第3章 セルフ・キャリアドックの実施

1.キャリア研修の実施

多くの従業員に、効率的に、①自身のキャリアの棚卸し、②キャリア目標・アクションプランの作成などを行ってもらうために、キャリアコンサルティングに先立ち、集合形式の研修(キャリア研修)を行います。
対象従業員グループの属性に応じて、キャリア形成上の主要課題となるテーマを設定し、グループワークなども交えた能動的な研修を行うと、より効果的なものとなります。

 

2.キャリアコンサルティングの実施

従業員とキャリアコンサルタントが一対一で行う面談のことです。
上司等が人事評価等を目的に行う「定期面談」「業績評価面談」等と異なり、キャリア理論等に基づき、従業員の心理的な自己洞察を促し、キャリア形成のための方策を検討することを目的としています。
キャリアコンサルティングにおいては、従業員のこれまでの職務経験(仕事を通して成長したこと等を含む)、働き方で大切にしていることなどを棚卸しし、企業から求められる役割や責任、仕事に対する期待や不安などを確認します。それらを基にしたキャリアビジョンや、その実現のための行動プラン(アクションプラン)も策定します。現在の仕事に問題を抱えている場合には、その問題点を整理し解決を支援していきます。
会社への要望等を聴取した場合は、本人同意の下、会社側や上司などに伝達します。
仕事以外のプライベート面での課題がキャリア形成に何らかの影響を及ぼしていると考えられる場合にも対策を検討します。

 

第4章 フォローアップ

 

1.キャリアコンサルティングの結果

キャリアコンサルティング対象従業員全体のキャリア意識の傾向や組織的な課題及びその課題に対する解決策の提案などが、キャリアコンサルタントから報告されます(個別面談の内容は、守秘義務により原則として報告されません)。

(1)組織として対応すべき課題

経営者等のリーダーシップにより、組織改
善を目指し適切に措置を講じてください。

(2)個別従業員の課題

キャリアコンサルティングを受けた従業員が同意した範囲内で、本人が抱えている課題や職場への意見等が会社側にフィードバックされる場合があります。組織(または上司)から適切な支援を行ってください。
また、対象従業員に精神保健上の問題が認められた場合には、社内の福利厚生担当者や産業医、さらには外部機関(産業保健総合支援センター等適切な専門家・専門機関)への紹介を検討します。

 

2.セルフ・キャリアドックの継続的改善

セルフ・キャリアドックを、よりよい仕組みにしていくために、継続的な改善を行ってください。
対象従業員やその上司などに対して、キャリア意識や仕事ぶりに変化が出たかどうかを(アンケート等により)定期的にモニターし、以後セルフ・キャリアドックをどのように進めていくか(見直しを含む)を検討してください。

 

 

 

 

 

 

用語集

「キャリアコンサルティング」について

 

「キャリア」とは、
過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すものです。
「職業生涯」や「職務経歴」などと訳されます。

 

「キャリアコンサルティング」とは、
労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、
助言及び指導を行うことをいいます。

 

「キャリアコンサルタント」とは、
2016年4月より創設された国家資格で、個々人の適性や職業経験に応じて職業設計を行い、
これに即した職業選択や能力開発を効果的に行う専門家です。
キャリアコンサルタントは、企業の人事・教育関連部門、大学のキャリアセンター、
公的就業支援機関、人材紹介・人材派遣会社など、幅広い分野で必要とされています。

 

「セルフ・キャリアドック」とは、
従業員のキャリア形成における“気づき”を支援するために、年齢、就業年数、役職などの
節目において、従業員が定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を、
企業が設定するしくみのことです。

 

「ジョブ・カード」とは、
「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールであり、
個人のキャリアアップや、多様な人材の円滑な就職等を促進するため、労働市場インフラとして、キャリアコンサルティング等の個人への相談支援のもと、求職活動、職業能力開発などの
各場面において活用するものです。

 

「セルフ・キャリアドック」とは

 

「セルフ・キャリアドック」とは、
定期的なキャリアコンサルティングとキャリア研修などを組み合わせて行う、
従業員のキャリア形成を促進・支援することを目的とした総合的な仕組みのことです。

セルフ・キャリアドックは、直訳すると自身でキャリアの診断を行うという意味です。
具体的には、年齢や勤続年数、昇給昇格、異動や配置転換など、キャリアの節目において
自身のキャリアを客観的に見つめ、自身の働き方や将来の目標について考える事です。

時代や経済環境などに応じて仕事にはさまざまな変化があります。
それらの変化に適応した働き方をする上でセルフ・キャリアドックは効果的な取り組みといえます。

 

「セルフ・キャリアドック制度」とは、
人材育成に用いる事を目的としてセルフ・キャリアドックを行うことです。
従業員に対し、キャリアの節目など定期的にキャリアコンサルタントによるジョブカードを使用したキャリアコンサルティングを受ける機会を設けます。それにより、従業員の目標意識の向上やスキルアップを図り、結果的に自社の業績向上につながります。

 

厚生労働省「セルフ・キャリアドック導入支援サイト」

http://selfcareerdock.mhlw.go.jp/

 

 

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